ぎゅってしてもいいですか。










「────そーだったんだ……ごめんね、ほんと……」



しゅんとして謝ると、永澤くんは全然へーきだからと言って許してくれた。




「そのアザ……私を理科室ドアから守るために……あの時……私の不注意で……。

たったそれだけのために作っちゃったんだよね……。

もう、なんか……情けなさすぎて……ごめんね……」




「だから、だいじょぶだって。月乃は悪くない」




シップを貼りながら、永澤くんはずっと私を慰めてくれた。


……このアザは、あの理科室に残っている子に声をかけられ、後ろ向きに走り、

ドアにぶつかりそうになったところを永澤くんが助けてくれた時のものなんだ。


そう思うと、ホント申し訳なかった。


……ごめんねごめんね、早く治れと念じながら丁寧に貼る。




「そんな慎重にならないでいいよ。……ふは、だめだ、おもしろ」



……当の本人はこんな感じ。全く、こっちは真剣なのに。




でも、かっこかわいいから許す。


……なんて、えこひいきかなぁ。








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