ぎゅってしてもいいですか。



「すぐに助けてやれなくてごめん。辛い思い、させてごめん……」




なんで永澤くんが謝るの……?



なにひとつ、悪くなんてないのに……。



悪いのは、私……なのに。





「なんで……気づいてくれたの?」



溢れそうになるものをこらえながら、ゆっくり言葉を紡いでいく。



「月乃を探しに校舎を走り回ってたら……月乃の叫び声が聞こえて。危ないって思って……。

なんか……どこにいるかわからなかったのに、足が4階に向かってた」






────それだけで。


私にはそれだけで、十分すぎるほど嬉しかったよ。



ちゃんと……届いてた。


あの声は、届いてたんだ。


だれも気づいてくれない中で、真っ直ぐ、大好きな君に。


助けてくれたんだ。





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