ぎゅってしてもいいですか。

>>2 理科室で










────キーンコーンカーンコーン……────





授業開始のチャイム。


はあ……ほんと、席が遠いなぁ。


ま、今は十分かなぁって思うけど。でも、この距離が心の距離なのかなと思わせるほど遠い。




「……ここはマグネシウムと酸素の化合量を求めて……、はい、教科書53ページ」


先生の声が理科室に響いた。


ぱらぱらと個々に教科書をひらく音が続く。


私も……っと。





「……?」


ふいに永澤くんの方へと目が行った。


なんだか……自分の机に向かってニヤニヤしてる。

あ、隣の女の子も笑って……。もしかして、落書き?机に落書きしてるの?




み、見たい……。


ずるいよ、隣の女の子。



永澤くんの落書き&あんな可愛い笑顔が近くで見れて。


私もあんなふうになりたいとか、思わないわけないじゃん……。



もう、全然十分じゃないよ。もっと近くなりたい。近くに行きたい。


私だって、私だって……。



そんな思いが通じたのか、ふと永澤くんと目が合った。





う、うう、うううわあああああああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!!!!!!!!!!!!!





心の中で叫びながら、慌てて目をそらす。




やっぱ無理、近づきたいとか言ってごめんなさい。嘘です。すみません神様。


……はぁ、こんなんだからダメなのかなぁ……。


「永澤っ!」


唐突に先生の声が耳をつんざいた。


「何書いてんだっ。真面目に授業受けろっ」


まわりからクスクスと声が漏れる。


そんな中、当の永澤くんはいたずらっぽく笑っていて。


隣の女の子も笑ってる。


みんなを少しのことで笑顔にしてしまう(?)永澤くん。





……かわいいよ、もう。


そんな風に笑わないで。


心臓がきゅんってうるさいから。




< 3 / 421 >

この作品をシェア

pagetop