焦れ甘な恋が始まりました
「あ……、」
「俺さ、営業部時代……お昼に日下部さんの近くを通ると、いつも手作りのお弁当持ってきてて偉いなーって感心してたんだ」
「え、」
「しかも、チラッと見た感じでも彩り豊かで、バランスとかちゃんと考えてんだなーって。こんな弁当食べれる奴がいたら幸せだろうなって、いつも思ってたよ」
「、」
「だから、これ、食べるのめっちゃ楽しみ。仕事のあと、日下部さんの料理が待っててくれてるのかと思ったら、このあとも頑張れるよ」
「っ、」
ああ、もう、本当に。
どこまでも、罪な男(ヒト)だ。
重いはずの保冷バックを軽々と片手に持った社長は、社長が持つには不似合いなそれを見て、本当に嬉しそうに微笑んでいる。