焦れ甘な恋が始まりました
  





「えー、その人、馬鹿ですねぇ」



週明けの月曜日。

金曜日の社長との出来事を、“ 私の友達が ”という体裁で小出ちゃんに話せば、開口一番にそう糾弾された。



「で、でもさ?好きだからこそ、身体だけ繋がるのは嫌っていう……私の友達の気持ちも、わからないでもない?」



敢えて “ 私の友達 ” の部分を強調する辺り卑怯でしかないけれど、こんなことをあけすけに後輩に相談できるほど強靭な心臓も持ってない。


だから、お願い、わかると言って。

そうじゃないと私、今日一日、仕事頑張れない。



「えー、まぁ言ってることはわからないでもないですけど……」


「だ、だよね!だよね!?」



小出ちゃんの返事に思わず目を輝かせれば、一瞬言葉を探すように視線を彷徨わせた彼女は、ついに何かを諦めたように私を見た。


 
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