焦れ甘な恋が始まりました
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「――――どうして、突然こんなこと!」
社長室をノックするより先に聞こえてきたのは、狩野くんの悲痛な叫び声だった。
「……とにかく、確認は取れた。とりあえず落ち着け」
そして、それに答える社長の重い声。
その声を聞いてゴクリと喉を鳴らした私はノックもせずに、「失礼します」とだけ声を掛けて目の前の扉を開けた。
「……日下部さん」
突然部屋に入って来た私を見て、驚いたように目を見開いた下條社長。
それを見て静かに頭を下げれば、社長の前に立つ狩野くんが再び声を張り上げた。