焦れ甘な恋が始まりました
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「……さん、くさか……さんっ、日下部さん!」
「っ、……は、はいっ!」
遠い昔に置いてきたはずの記憶を、今更になって掘り起こしてしまった金曜日。
終業まであと一時間というところで、私は隣のデスクの小出ちゃんの声に現実へと引き戻された。
「日下部さん、先程から携帯が鳴ってますよ?」
「え、え……あっ、」
「ずっと鳴りっぱなしなので、もしかしたら何か急用のお電話なのかもしれないと思いまして」