黒いジャージ ~先生と私~

残り30分の昼休み、私はひとりになりたくて、教室を出た。


騒がしい廊下は嫌い。

だから、授業を抜け出したくなるのかもしれない。

授業中の静まり返った廊下が、とても好きなんだ。


静かな場所を探しながら歩いていると、駐車場についた。

ギラギラ太陽の光を浴びるバイクが光る。


「あ」

誰もいないと思っていたのに、バイクの後ろに人がいた。

その人は、愛しそうにバイクを磨き、微笑むような眼差しでバイクを見つめていた。



“先生のバイクになりたい”

って思った。




先生、どうしてそんな優しい目をするの?

先生は、みんなの先生で、誰のものでもなくて、誰にでも優しくて。

それはわかってるのに・・・・・・

どうしてだろう。

ものすごく、先生を独り占めしたいって思う。




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