好きの代わりにサヨナラを《完》
第四章
一夜明けても、あたしはまだライブの余韻に浸っていた。

少しかすれた莉緒の歌声が、すごく切なかった。

あたしはスマホだけ持って、一人で思い出の場所を歩いていた。



自分が通っていた中学校、蒼と映画を観たショッピングモール、そして幼い頃蒼と一緒に遊んだ公園。

オーディションに合格したのを蒼に報告したのも、この公園だった。

あたしは公園に入ると、一人でブランコに座る。

スマホとつながるヘッドホンを頭につけて、莉緒の曲を鳴らした。



昨日の莉緒の涙を思い出す。

あたしはヘッドホンから流れる音楽に耳を傾けながら、ゆっくり目を閉じた。
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