ソラは今日も喧嘩中
「答えは、出てるの。」

そう言って、ぎゅっと握りしめた拳の上を、溶けたアイスが伝っていった。

「でも、でもね....」

でも、何なのだろう。

自分でも、うまく分からない。

答えが出ているのに、足が止まった理由が。

「怖いよね。」

羽山くんは、そう言うとブランコを漕ぎ出した。

うわ、短っ、こわっ。

そう言いながらブランコを漕ぎつづける。

そうして、もう少しで一回転してしまいそうな勢いまでいったブランコから、軽やかに飛び降りた。

少しよろめいた後に、こっちを向いた。

「今、大空に必要なのは、こにちゃんじゃないの?それに、」

雲ひとつない空を見上げて、大きく息を吸い込んだ羽山くんは、少し切なそうに

「ずっと隣にいると、それが当たり前だと思っちゃダメだ。」

そう言って、私にティッシュを渡してくれた。

「え?」

見上げると、

「アイス、たれてるよ。」

そう言っていなくなった。

手に垂れたアイスを拭いて、残ったアイスを食べていると、涙が溢れてきた。

羽山くんは、わかっていたのだろうか。

わかっていたような気もするし、そうじゃない気もする。

わからないけれど、私は羽山くんに貰ったティッシュで鼻水と涙を拭いた。
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