♡放課後みすてりあすいーつ!♡

「カチューシャを嫌がったのは、付けたら補聴器が見えちゃうから。本を読む時下を向くと邪魔になるけど、補聴器とか松葉杖とかをおもちゃ感覚で借りる馬鹿な奴、たまにいるもんね。無いと困るどころか、生活の一部だってのに」

叶海ちゃんは出来る限り普通で有りたかったから、聴覚障害者の証である補聴器は隠したかったんだろう。

そうじゃなかったら、早く透輝くんにそれを言ってるはずだ。

「『説明する時身振り手振りでバタバタしてた』のは多分手話だよ。図書館関係者で手話が出来る人がいたんじゃない?」

潜入したあの日、先生と話してた時の手の動き。

片手の甲に手の横をトンと付ける『ありがとう』の手話が入ってた。

「で、どうする?透輝くんと会話が出来るくらいなら、会話するのに問題は無いだろうけど、聴覚障害者と付き合うのは、大変だと思うよ?」

補聴器は万全じゃない。

電話とか、機械越しの音は聞こえないって聞いたことがある。

連絡を取るのも、会話をするのも、楽とはいえないと思う。

それでも、透輝くんは叶海ちゃんと付き合う覚悟があるの?

聴覚障害者だからって諦めるくらいの恋なの?

もしそうだとしたら、叶海ちゃんを障がい者扱いしてるって事?

私は、それが聞きたい。
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