Soul Lovers~世界で一番愛する人へ~
シンデレラにはなれないけど(亜理紗×菅くん)




「一緒に行かない?」



そう言って、チケットを差し出す陽希。



どうやら夢の国に誘ってるみたいだ。



私は、そう言うことね。と冷めた目を陽希に向ける。



「本当は雛と行きたいんでしょ?」



雛は夢の国が大好きで、夢の国のキャラクターグッズをたくさん持ってる。



「べつに。そんなんじゃないよ」



素っ気なく答える陽希に、心はズキズキ痛むのに、何でもない顔をして陽希の背中を叩いた。



「バーカ。無理してんじゃないよ」



陽希は「いてっ」て背中を撫でながら、



「だよな。亜理紗だもんな」



そう言って、笑った。



「真下さんを誘いたくてチケット2枚買ったけど。きっと断られるんだろうなって思うと、言い出せなくて」



「情けないよな」なんて、弱気な顔をする陽希。



中学の時から、勉強もスポーツもなんでもできて、かっこいい陽希は、みんなの憧れで、



その事を、陽希自身もよく知っていた。



普段は自信に満ちた陽希が、雛子のことだけは臆病になる。



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