人形姫は笑わない
泣き虫王子が泣き止まない
〜涙〜


「…泣いてる」

不意に溢れた言葉が相手に聞こえてしまったのか不機嫌そうに距離を詰めてきた。

「泣いてねぇよ…!つか、なんでいるんだよ!」
「私の教室だから?」
「もっと自信もてよ!」

首を傾げいう私に今にも泣きそうな顔をして食いついてくる。

忙しい奴だな…。

「…君はなんで泣いてるの?悲しいの?辛いの?それとも、痛いの?」
「んな質問ばっか…」

ポロッ

男の子は言葉の途中で目尻に溜めた涙を零した。

「お前なんかにっ…関係ないだろ…」

一度溢れた涙は止まることを知らず、どんどんと溢れてくる。
私は男の子の涙を自分のハンカチで拭き取った。

「ッおまっ、な、何して…!」
「涙拭いてる」
「わかるよ!だから何でそんなこと…!」
「目の前で流れちゃったら、私だって困る。関係ないからこそ、できることだってあるでしょう?」

涙を拭きながら私は男の子をじっと見つめた。
涙で濡れたまつ毛がキラキラ光って、光の粒のように見えた。

「…君が楽になるように、えっと、私でよければ話、聞く…」

聞いてもいいのか少し不安だったけど、目の前で泣かれたんだもの、大丈夫だよね?
男の子は私のハンカチを持った手を握ると震える声で話し始めた。

「…お前はさ、自分の存在を否定されたらどう思う?」
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