オフィスにラブは落ちてねぇ!!
しばらくするとお昼になり、高瀬FPが出先から戻って来た。

「ただいま戻りました。」

「お帰りなさい、お疲れ様です。」

「菅谷さん、今日のお昼はどうします?」

「お弁当買いに行こうかと思ってます。」

「僕もです。一緒に行きましょうよ。」

「あ、ハイ…。」

愛美が財布を持って立ち上がると、緒川支部長がチラリと顔を上げた。

「高瀬。」

また“俺も行く”と言うかもと愛美が思っていたら、緒川支部長は財布から千円札を取り出して高瀬FPに手渡した。

「俺のも頼む。」

「ハイ、何にします?」

「日替わりでいい。」

「わかりました。」

二人で支部を出て歩いていると、高瀬FPが首をかしげて呟く。

「おかしいなぁ…。」

「どうかしました?」

「なんと言うか…意外でした。」

「何がです?」

「いや…わからなければいいんですけどね…。ホントにどうしたんだろ?」

高瀬FPの言葉の意味が理解できず、愛美は首をかしげた。



お弁当を買って高瀬FPと一緒に支部に戻ると、緒川支部長は相変わらずパソコンに向かっていた。

「支部長、買ってきましたよ。」

高瀬FPが声を掛けても、緒川支部長はパソコン画面から視線を動かさない。

「ありがとう。後で食べるからそこに置いといてくれるか。」

「わかりました。」

休憩スペースのテーブルにお弁当を置いて、高瀬FPはまた首をかしげた。

「やっぱりおかしいなぁ…。」



愛美が高瀬FPと二人でお弁当を食べ終わり内勤席に戻ると、緒川支部長は支部長席を立って休憩スペースでお茶を淹れ、一人お弁当を食べ始めた。

愛美がコーヒーを淹れようと休憩スペースに行っても、緒川支部長は顔も上げずにお弁当を食べている。

「コーヒー…淹れます?」

なんとなく気になって声を掛けても、緒川支部長は相変わらず顔も上げない。

「いや…いい。」

愛美はイラッとして、眉間にシワを寄せながらコーヒーを淹れて内勤席に戻った。

(何あれ…。)





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