マイペースな美男さんのVRMMO活動記

「よし、時間だ。ダイブするか。うぇえええええい!」

もはやテンション壊れ気味である。

カプセルにはイン済み。

「では、イッテキマス!」

意識が遠のいていった。

────────

『ようこそ、トゥルー・ストーリーズ・オンラインへ!私は今回の案内役をつとめさせていただきます、ルーと申します。ではまず、名前を設定してください』

意識が浮上した。

あたりは真っ白で、目の前にはピンク色のツインテールの人間そっくりの女の子。

うわあ、どぎつい色してんなぁ……と思っても仕方ないだろう。

しかし、よくできてるなぁ……表情が人間となんら変わらない。

この『ルー』も優秀なAIを積んだキャラクターなんだろう。

そんなことを考えていると、目の前に半透明のディスプレイが浮かび上がった。

おっと、名前名前。

名前を設定する欄に入力していく。

「え~と、ユ、キ……と。よし、『決定』」

『ユキ様ですね。名前に重複がございませんので、使用できます。なお、今後このキャラクターでは名前の変更は出来ませんのでご了承くださいませ』

「はいよ〜」

『次に、アバター設定を行います。ユキ様はカプセルをお使いになられているので、そのまま現実での体型をインプットし、アバターを作成することが可能ですが、どうしますか?』

ふむ……体型、つまり身長や体重を変えることは可能だが、俺はそれがあまり好きではない。

やはり、現実の身体が一番馴染むのだ。

無理して身長を高く設定した奴がそのキャラクターに慣れるまで相当苦労する話は有名である。

余談だが、女子の場合、ここで胸囲の設定が可能なんだとか。

巨乳の子を見ても本当にその大きさかどうかわからないってことか。

……ネットってこわいね、ママ。

「じゃあ、『現実の身体を使う』っと」

『了解しました。身長170センチ、体重58キロで登録します。次に、顔作成に移ります。髪の毛の色、眉毛、睫毛の色、肌の色、眼の色、唇の色、頬の色などが設定可能です。なお、顔のパーツ自体を弄ることは不可能です』

そう、そうなのだ。

最近のVRMMOは何故か顔自体は変更することができない。

つまり、性別を変えることができないのだ。

ネカマにとっては地獄である。

俺には関係ないけど。

まあ、顔作成とか言いながら色しか変更できないって詐欺だと思うぜ。

「色は……う〜ん、そのままでいいか。よし、『変更なし』っと」

『了解しました。……ユキ様は男性ですか?女性ですか?』

えっ?

「どうしてそんなこと聞くの?性別の変更はできないでしょ?」

『はい。しかし、先程からユキ様のお顔をスキャンしているのですが、判断がつきません。そのようなときはこのように質問させていただく場合がございます。TSOでは、性別自動補正というものがついており、もし女性だった場合はより女性っぽく、男性だった場合はより男性っぽく顔や体型に補正がかかります。なお、無補正という選択肢もございます』

プログラミングよくできてんな〜。

「あ〜、そりゃあ、ネカマじゃない奴にとっては地獄ですね。じゃあ、もし中性顔の男が今みたいに質問されて女って答えたらどうすんの?」

『女性としてTSOで生活していただくことになります』

「穴だらけじゃねぇか!プログラミングよくできてるなんて思っちまった俺の身になれよ!」

グチグチ言いながらも『男』の項目を押す。

『了解しました。ユキ様は男性ですね。性別自動補正をおかけしますか?』

「んーと、『かけない』と」

ポチリと『かけない』の項目を押す。

『職業の設定に移ります。次の項目より選択してください。なお、ゲーム開始後、変更不可となりますのでお気をつけ下さい』

「おっ、きたきた」

悩みに悩んだ結果、『召喚士Lv1』にした。

だって、召喚獣と戦うとか、男の憧れ、夢だろう?

『了解しました。『召喚士』はレベルが上がるにつれ、召喚できる枠が増えていきます。最初は三体までとなっております。ご確認くださいませ』
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