恋 文 日 和


一方の桜井くんは
相変わらず風邪を理由に学校を休んでる。


神楽くんから桜井くんの事を頼まれていたけれど

実際どう声を掛けていいのかわからない。



桜井くんの気持ちを知ってしまった以上
やたらな事は言えなくて。

何度も携帯を開いては、送れないメールを削除する日々。



神楽くんは神楽くんで
もうすぐ行われる文化祭に向け

学級委員として、玲の分まで居残りしながら忙しそうだった。





…あたしは、一体どうすればいいんだろう。


玲が隣に居ない事に悲しくなって

桜井くんの気持ちを思うと苦しくなって。



結局、何も出来ないまま繰り返される毎日に埋もれていくだけ。

溜め息ばかりが
がらんどうの心を埋めてゆく。



みんな、自分自身と闘っているのに。




あたしは、やっぱり
誰の力にもなれないんじゃないか。


そんな弱虫のあたしが、いつも邪魔してくる。





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