恋 文 日 和




奇跡が起こった。


『…でも、可愛いって思ったんだ、本当に。』



神楽くんが、あたしを

イメチェンしたあたしを


『可愛い』って、そう
言ってくれた。




嬉しくて、嬉しくて。


もしかしたら、あたし
一生分の奇跡を使い果たしてしまったのかもしれない。





菊井 日和は、今。

世界一幸せでっす!!






「てか、ニヤつきすぎ。」

「へっ!?」

制服も長袖から半袖に変わった湿っぽい梅雨の季節。


古文の授業は自習になって
騒がしい教室の端で、頬杖をついた玲があたしを見てそうぼやいた。




「思い出してニヤけるのは自由だけど、傍から見るとただの怪しい子だよ?」

「だ、だってぇ…。」


嬉しいんだもん!!

抑えようとしても、勝手に顔が緩んじゃうんだもーん!



……って、やっぱりあたしって

怪しい…?







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