幼なじみの罪ほろぼしと恋心
「ねえ、花乃は俺を好きだって思ってくれてるの?」


そ、そんなに何度も聞かないで欲しい。

さっき、好きどころか、大好きって言い放った私に対して。

大樹はこういうのに慣れてるんだろうし察してよ!


「花乃?」

大樹がもう一度私を呼ぶ。

もう逃げられない。私は勇気を出してコクリと頷く。

大樹が息を飲む気配がした。


「……それは幼馴染として?」


ま、まだ追及するの?

こんなの酷い。
大樹は私の羞恥心をどこまで煽れば気が済むの?

もう半ばパニックで私は声を高くして言った。


「幼馴染とかじゃない! 私、大樹が好きなの……大樹の過去の彼女に嫉妬するくらい大好きなの!」


ああ、恥ずかしすぎる。

もう耐えられない。

あまりの状況に涙が出て来てしまいそう。

泣き出しそうになったその時、凄い勢いで大樹の腕に抱き締められた。


「あっ……」

あまりの圧迫感に声が漏れる。

抗議しようとしたけれど、大樹の切ない声が聞こえて来て私は黙り込む。


「花乃……花乃……」

「大樹……」


抱き締められ、大樹の胸に密着すると胸の鼓動が聞こえて来る。

ドキドキと高鳴っていて……大樹も私と同じ位緊張している?

恥ずかしくてどうしていいのか分からないのは私だけじゃないのかな?

上手く出来ないのは私だけじゃないのかな。


温かい腕の中でそう思った。



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