幼なじみの罪ほろぼしと恋心
「青山さんって入社した時から若生屋の担当なんだって? しかもうちの主力商品とは一切関係ないオマケ玩具なんだろ? やりがいとかどこで見出してるわけ?」

ああ、いきなり始まった。


電車に乗った途端、真顔でそんな事を言われ私はうんざりとした気持ちで溜息を吐いた。


「どんなに小さな仕事でもそれなりにやりがいは有りますよ。出世とか目指してる人には物足りないかもしれないですけど、私は今の自分の仕事に満足してますから」


そつなく答えたつもりだったんだけれど、須藤さんは気に入らなかったらしく、形の良い眉をひそめながら言った。


「つまり青山さんは出世願望無しって訳か。それっていずれはどこかの男と結婚して辞めるって想定だろ?いいよな女は気楽で男に寄りかかっていれば生きていけるんだからな」

「いえ、そういう訳じゃないんですけど」


なんで須藤さんっていちいち捻くれた受け取り方するのかな?


「じゃあどういうつもり? 青山さんは彼氏いたよな。前に飲み会の席に乱入した失礼な男。あいつが居るから仕事はそれなりでいいって思ってるんじゃないのか?」


失礼なのは須藤さんだって不快に思いながらも、なんとか堪える。






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