幼なじみの罪ほろぼしと恋心
空から白い雪が降っている。

白い羽の様なそれは、ひらひらと夜の闇の中を踊っていた。


「ホワイトクリスマスだね」

「ああ」


大樹が窓の外から隣に立つ私に視線を移した。


「子供の頃……まだ俺と花乃が仲良かった頃、クリスマスの約束したの覚えてる?」

「え? 約束?」


私が大樹と特に仲良くしていたのは、せいぜい小学校くらいまでだよね。

記憶を探るけど思い出せない。


「なんだっけ?」


ちょっと気まずく感じながらも正直に言う。

大樹は苦笑いを浮かべて言った。


「やっぱり忘れてた……大きくなったら花乃の部屋で一緒にイブを過ごそうって約束したんだよ」


私の部屋で?

何でそんな約束を?

しばらく考えてハッとした。


「……そっか、思い出した」


何歳の頃の事か忘れたけれど、幼かった私はサンタにどうしても会いたくて、大樹に言ったんだった。


私の部屋で起きてサンタを見ようって。

でも子供が夜中まで起きてるなんて出来なくて、大人になったらって二人で約束したんだった。


その後成長してそんな約束すっかり忘れていたけれど。


「だから今日私の部屋で過ごそうって言ったの?」

「そう。花乃との約束を果たしたくて」


そんな遠い昔の子供の約束。

私なんて忘れちゃってたのに。でも……。




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