私だけの王子様
付き合ってるけど、なに?



「しししし、し、紫宇!!」


かったるそうに歩いてる、目的の背中を見つけ、猛ダッシュして走り、少し緊張しながらも名前を呼ぶ。


すると振り向き、朝から嫌なものを見た、みたいな顔をする。


クッソーー!!私だってね、ほんとだったらただでさえイラついてる朝がもっとイラつくから見たくないっつの!


「.....なに。」


「すっごい偶然だね、会うなんて!」

そして、そんなことを思ってないように見せかけて、登校中偶然幼馴染に会った...フリをする、私。


いやいや、だってね、しょうがないんだよ!こうやって計算して会わないと、避けてくるんだもん!


でもでも、男って馬鹿な生き物でしょ?ね?

私の計算に気づかずにほんとーに!“偶然”って思っちゃってるんだから。


クールの都会男子?いえいえ、どれだけクールでも、都会に住んでるっぽくても、男は男ですから!!


「だからなに」


「もーう!冷めちゃってんなあ〜

一緒に行こうよ!行き先も同じだし!ね?!」


ふふふ〜ん、なんて言って紫宇の隣に並んで癖の、腕を組もうとすると、


「おい、」


なんて言って睨まれる。

はあー、なんなの目つき悪いなあ。
癖だし、癖!!

何かに触っとかないと落ち着かないの、知ってるくせに。


こんな時、主人公が腕を組もうとすると、同じ反応でも漫画の男の子は顔を赤くするのに、こいつは違うもん。


赤くなんて、絶対なりやしない。



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