鈴木くんと彼女の不思議な関係

分かってはいてもできないこともある。鈴木は叱られた子供みたいな顔で、言い訳を並べ始めた。

「でも、もとはといえば、俺を部室に誘ったのはお前じゃないか。引退してから部室には行かないようにしてたのに。でも行ったら、多恵は今まで通り接してくれた。今でも信頼して、笑ってくれて。。いいじゃないか。少しぐらい期待したって。毎日、勉強,勉強で楽しい事なんか何も無い。たまに多恵の顔見て癒されて、何が悪い。多恵だって別に嫌がってない。誰にも迷惑かけてないじゃないか。」

「何が迷惑かけてないよ。本当に鈍い男ね。」
「だから、何がだよ。」

「多恵の事よ。あんたがあんまり可愛がるから、多恵はいつも苛められてたのよ。あの子はどうして更衣室じゃなくて倉庫で着替えてるの?更衣室で着替えると制服を隠されたり汚されたりするからでしょ。部室に閉じこめられたり、階段から突き落とされた事まであるのよ。その度に、あたしと川村で、助けてあげてたんだから。」

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