甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
コインパーキングに止めた葵さんの車で、緑深い公園へ移動する。

昼間の蒸し暑さが嘘のように、夜は風が涼しく気持ちがいい。

池のほとりを葵さんと歩く。

相変わらず視界は滲むけど、さっきほどではなくなってきた。

「都…やっと会えた」

葵さんが私の手をそっと握る。

「…葵さん」

握られた手を握り返す。

「来てくれて…待っていてくれてありがとう。

会社絡みのことだったから、都に話すことができなかった。
不安にさせたと思う。

連絡しなかったのは、君の声を聞いてしまったら、何もかもを投げ出してしまいそうだったから、できなかったんだ。

俺は、弱い人間なんだ」

「私も、何度か、くじけそうになりました。

あなたを疑ってしまったこともありました。

でも、葵さんが『信じてほしい』て言ったから…」

「…っ、都!」

葵さんの瞳が、まっすぐ私を見つめ、

どちらからともなく、唇を重ねた。

5ヶ月の月日を埋めるかのように、何度も角度を変え、キスをした。


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