甘い香りに誘われて【続編 Ⅲ 完結しました】
「美味い!佐久間さん、コレめっちゃ美味いやん」

(藤枝課長、関西弁が出てます)

「お口に合ったようで、うれしいです。
先日、林檎をたくさんいただいたので、作ってみました」

宮澤さんに、京都の実家から送ってもらった日以来、何となく連絡しづらかった私は、何となく宮澤さんを避けていた。

「そのまま食べても、とても美味しいんですけどね…皆さんにおすそ分けなんです」

二人きりじゃなければ、普通に話せるみたい。ホッとする。

「本当だ。美味しいよ。おかげで良い案が浮かびそうだ」

宮澤さんが、ふわりと微笑んだ。

「ありがとうございます…」

(この微笑みに特別な意味はないんだ)

胸の奥が、キリキリと痛んだ。

私は普通に笑えてるよね?

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