運命の出会いって信じますか?
19
もちろん…、夜に英輔から電話がかかって来た。

「華のこんな顔を見たのはいつ以来だろう。」

お姉ちゃんの送った私の顔の事なんだろう。

英輔の声は優しい。

「俺がそうさせたんだよな…。」

ぼそりとそう付け加える。

「もう恥ずかしいから、その写真は削除してよ。」

目が腫れて、いかにも泣き出す寸前のボロボロの私の顔。

自分では見ていないけれど、想像もしたくない。

「何の飾り気のない華の貴重な表情だぞ。そんな勿体ない事は出来ない。」

「うっ…。」

思わず声を詰まらせてしまった私。

「…悪かったな。華を責めるつもりじゃなかったんだ。むしろ自分に自信がなくなって、そのイライラを華にぶつけてしまった。ここからじゃ、華に触れる事も出来ないのに泣かせてしまうなんて…。」
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