運命の出会いって信じますか?
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私は野々村華(ののむらはな)30歳。

無事四年生の大学を卒業して、製造会社で事務をしている。

ほとんどが書類や伝票に追われて、毎日が終わる。

社会人になって8年。

その作業にはかなり慣れて来たはずだが、毎日のようにデスクに溜まる書類や伝票は迅速にかつミスなく処理しなければならない。

優秀な営業とコンビを組めば、それはおのずと残業へ繋がって行く。

うちの会社は、営業と事務がコンビを組む。

そしてその営業が取って来た仕事に関する書類上の処理を、そのコンビを組んだ事務がすべて行うのが基本だ。

私は同期の営業、日下英輔(くさかえいすけ)と入社と同時にコンビを組み、そのまま付きあう事になった。

英輔は2年前にタイに赴任していて、今は遠距離恋愛をしている。

その赴任が決まったのは、ちょうど付き合いだして6年目の春。

お互いが28歳になる年だった。

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