運命の出会いって信じますか?
5
「華、聞いている?」

ちょっとよそ事を考えていた私を、電話の向こうから英輔が呼び戻した。

「ごめん、英輔との始まりを思い出していた。」

私は申し訳なさそうに笑う。

「…俺は今でも華と出会った事は運命だったと思っているよ。」

運命…。

確かにあの時も英輔はそう言った。

「大体俺は、最終面接でがちがちだった華が俺と話しているうちに変わっていったあの表情がずっと頭から離れなかったんだから。」

それは何度英輔に聞いた事か。

「入社式でもずっと華を探していた。きっとこの会社には受かっているだろうって確信があった。でも華がこの会社に入社するのは半々の確率だからな。」

「私はここしか内定をもらえなかったんだから。英輔こそもっと良い会社に内定もらっていたんでしょ」

何度この話をして来たんだろう。

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