運命の出会いって信じますか?

「でもその方が俺は好きかも。」

そんな意味深な言葉を残して。

あまりにも思いがけない彼のセリフにあっけに取られている間に、玄関は閉まった。

咄嗟に何も言い返せなかった自分がとても悔しい。

「顔見知りになったからって、あんな事わざわざ言わなくてもいいのに。」

私は化粧品の入った箱を持って、奥へ入って行った。

久々に、無性に腹が立つ。

でもな…。

もう私も30歳。

この2年、英輔と会っていない。

最低限のお手入れはしてきたつもりだけれど…。

そんな事を思いながら、鏡を覗き込む。

英輔と知り合ったのは、22歳の時。

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