運命の出会いって信じますか?
14
生都くんの引っ越しが無事に終わって、新しい生活が始まる。

信じられないぐらい少ない荷物でやって来た生都くんの部屋は物置になっていた6畳ほどの部屋。

家電とかダブってしまったものは売るか、実家に送ったようだ。

「生都くんのご両親には何て話したの?」

私は自分の事ばかり考えていて、すっかりその辺の事情の確認を忘れていた。

「こっちで知り合った友達とルームシェアを始めたから心配するなって報告しておいた。」

確かにそういう言い方をしておけば、ご両親がこちらに来る事もないだろう。

「ごめんね、生都くんに嘘をつかせちゃったね。」

私は生都くんに謝る。

「本当の事を言っても良かったんだけど、多分誰もこの状況を理解してくれないだろうし、何しろ華さんに迷惑が掛かるからな。」

私は苦笑いをする。

「両親はあれから上手くやっているみたいだから大丈夫だよ。薄情な息子の事なんて眼中にないさ。」
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