運命の出会いって信じますか?
16
真先が段々やんちゃになり、私のお腹も大きくなってきて10ヶ月検診を受けた。

「ちょっと貧血気味なのが心配だな。日下さんはまだ働いているの?」

産婦人科の先生はカルテから私に目を向けた。

「はい。もう私が居なくても仕事は回っていくんですけど、最終チェックだけはぎりぎりまでしたいなと思って。」

それに真先が託児所に居る方が助かるし。

「まあ、お腹の赤ちゃんは順調だからもういつ産まれても大丈夫だと思うけど、くれぐれも自分の身体を労わってね。お願いしますよ、生都くん。」

いつの間にか先生にまでくん付けで呼ばれている生都くんはウロウロする真先の手を摑まえながら、反応する。

チラリと先生の方を向いてうなずく。

「なー。遊ぼ。」

最近真先は生都くんの事をこう呼ぶようになった。

「こら、真先。なーはお母さんと先生と話をしているから。」

ちょっと怖い顔をして真先を牽制する。
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