Engage Blues






「【虎爪演舞(こそうえんぶ)】ッ!!」


 見開いた目に、ふたりの姿はなかった。強い風に煽られ、視界すら奪われる。

 微かに見えた光景は、ほんの一瞬なのに忘れられない。

 鎌の刃ような曲線を描くいくつもの透明な筋。


 虎の爪。
 それが襲いかかってくると思った時、




 反射的に身体が動いた。




「凰上家流闘術!」


 叫んで、足幅を広げる。肩よりさらに広く、重心を落とす。
 同時に両方の掌を突き出した。

 意識を集中させると、のばした腕に熱を感じた。

 それを思いきり外へ放出するようなイメージを描く。
 身体を巡る熱が掌の先で爆発する。



 外へ流れ出た途端、膨れあがる闘気。

 それを感じながら、もっと強く弾ける様を想像する。



「【鳳麟顕成(ほうりんけんせい)】ッ!」




 カッ!
 紅蓮の光が虎風の爪を吹き飛ばした。





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