Engage Blues

それが彼の生き甲斐












 深夜、ベッドの上でまどろんでいると、腕の中で恋人が身じろぐ。


「……う、ん」


 緩く首を振り、自身の髪の毛を払う。きっとどこかに接触して不快だったのだろう。

 そっと髪を撫でていると、彼女は頬に唇を押しつけて猫のようにすり寄ってくる。
 何度も口元にキスを仕掛けてくるも、何か不満そうだった。
 仕方ないので、頬に触れてゆっくりと唇を重ねる。

「ん……」

 喉を鳴らすような溜め息のあと、口腔の中に侵入した舌に吸いつく。
 ねだる口づけの合間に、腕を首に回される。隙間がないほどぴったりと身体を寄せられ、離れたくないという彼女の意思が伝わってくるようだった。

 無意識の確認。
 ようやく彼女は満足したようで、再び眠りに落ちる。

 当の本人は絶対に認めないが。
 夜中に寝ぼけると、こうしてかなり嬉しい甘え方をしてくる。

 言うと、むきになって否定してくるからリクエストはできない。しつこく食い下がって怒らせた挙げ句、寝室を別にされてもかなわない。


 胸の上に横たわる、滑らかな肌に指を這わせた。
 情事の後、身体中がしっとりと汗ばんでいた。





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