クールな女上司の秘密
色々と発覚
 週が明けて月曜日。ただでさえブルーマンデーなのに、今日は更に気が重かった。チーフと会ったら、俺はどんな顔をすればいいんだろう……

 更に間の悪い事に、今日は出版社との打ち合わせがある日だ。鈴木さんの方でシステムの大まかな骨組みが出来たので、出版社の人にレビューしてもらう事になっている。


 出版社に向かいながらも、俺とチーフの間に会話は一切なし。何か言おうかとも思うが、何を言っていいのかわからないのだ。

 打ち合わせが終わり、社に戻ろうとしていたら、鈴木さんに「ちょっといいですか?」と言われ、答える間もなく腕を引かれてしまった。

 チーフに目を向けると、鈴木さんにペコッとお辞儀をして、行ってしまった。つまり、俺は置いて行かれてしまったという事だ。

 本来なら鈴木さんに文句を言うところだが、今日はいいかなと思う。チーフといるのは、辛いだけだから。


「佐伯さん」

「はい、何でしょう」

「元気がないですよね?」

「そうなんです。わかりますか?」


 さすがは鈴木さんだ。俺に元気がないのを見抜いてくれた。やっぱり態度に表れてるんだなあ。


「わかりますとも。彼女、ぶっ倒れるんじゃないかな」


 彼女? なんだ、鈴木さんが言う元気がないは、チーフの事だったのか。

 いや、確かにそうだ。俺は毎日見てるから見落としがちだが、鈴木さんはたまにしか会わないからはっきり気が付いたんだと思う。チーフが、日に日に弱っているのを。現に金曜の夜、チーフは倒れたもんなあ。

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