クールな女上司の秘密
　社に戻り、パソコンのロックを解除して新着のメールをチェックしたら、なんとチーフから１通届いていた。チラッとチーフを見たが、俺などまるで眼中にない、という感じで前を見ていた。

　嫌な予感を抱きつつチーフのメールを開いたら、『今日は用事があるので一緒には帰れません』と書いてあった。


　ああ、そういう事か。それはそうだよなあ……

　残念な事に、チーフと俺の仲はすっかりギクシャクしてしまった。一緒にいても、お互いに辛いだけだろう。俺はすぐに了解の返信を送った。

　今日に限らず、チーフと一緒に帰るのは、もうお終いかもしれないなあ。

　ん？

　用事があるというのを、俺は単なる口実と思ったのだが、本当に用事があるのかもしれない。そしてその用事とは……美樹本さんとの密会か！？

　うーん、その可能性は高いかもしれない。もうかれこれ２週間以上、チーフは美樹本さんと会ってないはずだから。やっばり、用事とやらに俺も着いて行くと言おうか？


　いや、やめておこう。考えてみればチーフは大人なわけで、俺なんかが彼女の行動にとやかく口を挟むべきじゃないんだ。もっと早く、それに気付くべきだったのかもしれないなあ。


　ああ、くそ。今夜は酒でも飲みたい気分だ。


「佐藤さん！」

　俺は隣の佐藤さんに声を掛けた。

「なあに？ 佐伯ちゃん」

「今夜、飲みに行きませんか？」

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