私の記憶へ、ようこそ
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part1 -1-





―――中2の夏、私を取り巻く環境はがらり、と変わった。





いつも通りに起きて
いつも通りにご飯を食べる。
いつも通りに学校に向かって
いつも通りにクラスの扉を開ける。

唯桜(いお)「おはよ~っ」
そう、やっぱりいつも通りだった。
この時までは。



しん。
何かが変だと思った。
その何かはわからないけど
何か。
女子特有の
何か。
???「唯桜ちゃん」

唯桜の名を呼んだ女の子の周りには唯桜を睨みつける女の子や泣きじゃくる女の子、そしてそれを慰める女の子。ただ唯桜を見つめる子。人それぞれだったがみんなの唯桜を見る目は同じだった。

裏切り者を見る目。

唯桜「え…」


???「酷いよ、唯桜ちゃん」
泣きじゃくる女の子が必死に言う。
唯桜は落ち着いて、その女の子の名前を口にした。

唯桜「美虹、ちゃん」

美虹(みく)「唯桜ちゃん。信じてたのに…酷いよ!」
美虹の言葉に合わせ、クラス中の女の子がうんうんと頷く。

???「唯桜ちゃん。分かってるよね?」
最初に唯桜の名前を口にした女の子が唯桜に追い討ちをかける。

唯桜「美羽ちゃん、何のこと?」

美羽(みう)「唯桜ちゃん昨日橘くんといたでしょ?聞いたよ、美虹ちゃん橘くんのこと好きなの、知ってるよね」

美虹「酷いよ、唯桜ちゃん…橘くんのこと、応援してくれるんじゃなかったの?」

唯桜「え…」




何のこと…?

橘とは橘 楓(たちばな かえで)のことで、唯桜の幼なじみだ。
そして、美虹が好きな人でもある。
美虹のことを唯桜は応援していた。


本当に、唯桜は何もしていないのだ。

確かに昨日楓には会った。
けど、親におつかいをたのまれて行った店でばったり会っただけなのだ。

唯桜は必死に冷静を装いながら今おきていることを頭の中で整理しようとする。


とにかく変なことを言わないようにしないと。

真実を言っても何も変わらない。

それはわかっているけど、誤解をとかなきゃ…

1度敵だと思われたらもう終わり。
だからみんな、ひとつひとつの言葉をびくびくしながら話す日々。

今だってそう。

きっと本当はみんなわかってる。

楓と唯桜は何も関係ないことくらい。

自分に白い目が行かなければそれでいいのだ。
だから見捨てる。



だってここは戦場なのだから。











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