その瞳をわたしに向けて

松田 side



「あら、本当にお帰りなさい。」

美月を送った後、もう一度鈴政の暖簾をくぐった松田

「いいですか?」

笑顔で勿論どうぞ、とカウンターのさっきと同じ席でおしぼりをもらった。

適当な一品料理をもらい、ビールを一杯一気に流し込んだ。

「美月ちゃん送ってきたの?戻って来るなんて珍しいわね、剛平君。」


「…………週末ですから」


今日は仕事も早く片付き、明日も休日出勤はないから何となく飲みたい気分だった。


空になったコップに、美鈴ママが瓶ビールを注いでくれた

「今日は、なんだか二人ともおかしかったわね。」


「ああ、帰りに聞いたら寝不足で調子が悪かったらしいです、すみません。」

「そう?そんな感じじゃなかったけど」

美鈴ママは、首を傾げながら明後日の方を見上げた


「あいつ、今日一日なんかミスばっかりで、落ち着きがなかったし、集中できてなくて見てられなかったんですよ。」


「剛平君が他の子と食事の約束してたからじゃないの? 美月ちゃん、気にしてたのよきっと…………」

そう言った美鈴ママを見上げて、ふっと鼻で息をついた


「帰りの車で、やっぱり俺が相談を聞き入れないとダメだって言ってましたよ。」

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