そして星は流れて消えた
「人を好きになるって、切ないね」
私にとって、望月先生は初恋だった。
16歳にもなって、遅いかな?
先生に出会って何回悩んだだろう。
初めは見ているだけでよかった。
毎日、遠くから先生の白衣の後ろ姿を眺めていた。
だんだんと距離が近づいてきて、
遠くから眺めているだけじゃ物足りなくなった。
先生の言葉にこんなにも一喜一憂している私がいる。
遠くから眺めているだけじゃわからないことを沢山知れた。
先生の手の温かさとか、
普段は敬語じゃなくて、一人称は"僕"じゃなくて"俺"だったり。
病院から帰る前は、必ず病室に来てくれる。
ああもう。
涙が出そう。
病気のせいでつらかったことより、先生との幸せな思い出しか思い出せない。
私の心の中には、こんなにも先生のことでいっぱいだったんだ。
「天野の気持ち、全部伝えろよ」
どうしよう。
涙が溢れて止まらない。
また彗、困ってるかな。
「悔いのない選択、するんだろ」
彗の言葉で、私は決めた。
どうせ諦めるなら、伝えたいこと全部伝えよう。
「先生のところ、行ってくる」
「おう」
彗は少し、悲しそうに笑った。