一目惚れの片想い
3時間後


金髪に緑のカラコン

恐らく、私服の鈴木さん

いえ、Souが来た



鈴木さんとは別人みたいに、やる気のない

Souに、振り付けや立ち位置など

説明がされる



といっても、鈴木さんは、知っているから

興味なさそうだ



元々、ダンスもしていたようで

すぐに皆と合わせて踊れるようになる


しっかし、さすが


5年のブランクを感じさせない


ウォーク





スタッフの中のひとりが、鈴木さんに
気づいた

「Sou!?きゃあ!!本物!?」


誰も鈴木さんだとは気づいていない

しかし、皆の視線が鈴木さんに集まる


「あっどぉも、代役頼まれました
よろしくお願いします」


これまた、気の抜ける挨拶だった







リハが終わり、改善点の話し合いもあり

いつメンが残り、一服する


「あたしも混ぜて」

「Sou、お前は帰って休めよ!」

「徹夜するわけじゃないでしょ!!
少しくらいいいじゃない!!」

なんだかんだタバコに火をつけ、座る


「ククッ その格好でタバコ吸うと
不良娘そのものだな」


吉岡さんがからかうと鈴木さんは


「玲音… 


なんでもない……」



そう言って、つけたばかりのタバコを消し



「帰る」

「送ろうか?」

「結構です」











スタスタ帰っていく後ろ姿を見ていたら


「鈴木さん、元気ないですね…
そんなに、Souになるの嫌なら
断ればいいのに……」

と、言ってしまった


「やっぱり鈴木さん=Souなんだよね!?」

「俺も言っていいのか、悩みましたぁー
すみません!!田中と俺、知ってまして
鈴木さんは、覚えてないみたいですけどね」

「覚えてますよ」


「本当ですか!?でも、そんな素振り…」

「5年前、ファッションショーを開催するため、モデルをやめるという条件で、人を集める手助けをしたのが、うちの社長
それから、アメリカの高校に留学して
卒業後、入社…今に至る
つまり、社長の管理下なんだよ
自分がSouであることは、バレたくなかった
せっかく仲良くなったのに、引き裂かれるかもしれないから」


「鈴木さんは、吉岡さんを下の名前で
呼ぶのは、なぜですか?」


「ヤキモチ焼いたなら、ごめん
幼なじみみたいな、兄妹のような
そういう関係だよ
誤解しないでね
俺も、プライベートでは、かなでって
呼んでるよ
さあ、仕事に戻ろうか」




別に2人の仲を疑ってとか、そんなじゃないけど



鈴木さんがSouだと、世間に知られたくない

イベントは、開催したいクセに

ちょっと…

嫌だなって、思ったことは、内緒










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