十八歳の花嫁
第7話 猥褻
第7話 猥褻
大きなお屋敷らしく、そこは通常より広めの化粧室だった。
家族用なので明確に男女が分かれてはいない。しかし、天井と床に固定された不透明なパーテーションでしっかりと仕切られていた。
愛実は千里のことを考えながら、用を済ませ、個室の扉を開いた瞬間のこと――。
「キャッ!」
なんと目の前に宏志が立っていた。
見れば見るほど彼は兄の信一郎とは似ていない。
先ほど会ったばかりの姉、朋美ともまるで違った。
彼らの父で美馬本社の社長である信二は未見なので何とも言えないが……。
「あの、すみません。どいていただけますか?」
宏志は少しだけ口角を上げ、ジッと愛実を見ている。
背筋に気味の悪いものを感じつつ、それでも丁寧に声をかける。
「ああ、いいよぉ。おかげで、いい映像が撮れたしね」
嘲笑めいた軽い返答に、愛実は嫌悪感を深めた。
最初はなんのことかわからず、だが、彼が手にしたモニターに映る個室内の映像に、全身がカッと熱くなる。
「なっ……なんですか? そんなの、犯罪じゃない!」
「いいの? そんなこと言って。インターネットでバラ撒いちゃおうかなぁ」
宏志の脅迫は、藤臣に売春の件で脅されたときとはわけが違う。
あれには愛実の過失もあるが、今回はなんの責任もない。
愛実はギュッと手を握り締め、
「やりたければやったらどうですか? でも、藤臣さんが黙ってないと思いますけど!」
その反論に、宏志は明らかにたじろいだ。
だが、自らの愚かさから窮地に陥ると、暴力に訴えようとする行動は兄と同じだった。
大きなお屋敷らしく、そこは通常より広めの化粧室だった。
家族用なので明確に男女が分かれてはいない。しかし、天井と床に固定された不透明なパーテーションでしっかりと仕切られていた。
愛実は千里のことを考えながら、用を済ませ、個室の扉を開いた瞬間のこと――。
「キャッ!」
なんと目の前に宏志が立っていた。
見れば見るほど彼は兄の信一郎とは似ていない。
先ほど会ったばかりの姉、朋美ともまるで違った。
彼らの父で美馬本社の社長である信二は未見なので何とも言えないが……。
「あの、すみません。どいていただけますか?」
宏志は少しだけ口角を上げ、ジッと愛実を見ている。
背筋に気味の悪いものを感じつつ、それでも丁寧に声をかける。
「ああ、いいよぉ。おかげで、いい映像が撮れたしね」
嘲笑めいた軽い返答に、愛実は嫌悪感を深めた。
最初はなんのことかわからず、だが、彼が手にしたモニターに映る個室内の映像に、全身がカッと熱くなる。
「なっ……なんですか? そんなの、犯罪じゃない!」
「いいの? そんなこと言って。インターネットでバラ撒いちゃおうかなぁ」
宏志の脅迫は、藤臣に売春の件で脅されたときとはわけが違う。
あれには愛実の過失もあるが、今回はなんの責任もない。
愛実はギュッと手を握り締め、
「やりたければやったらどうですか? でも、藤臣さんが黙ってないと思いますけど!」
その反論に、宏志は明らかにたじろいだ。
だが、自らの愚かさから窮地に陥ると、暴力に訴えようとする行動は兄と同じだった。