十八歳の花嫁

第9話 艶事

第9話 艶事





「わたし……一日でも早く、あなたの赤ちゃんが欲しい。そうしたら、本当の家族になれるでしょう?」


見上げる愛実の目に、灯りが反射して煌いている。
薄っすらと浮かべた涙はダイヤモンドの雫のようで……藤臣の胸にも光を与えた。


「愛実、式の前にフライングをしても怒らないのか?」

「こんなことを言うわたしは、嫌いですか?」

「いいや、好きだよ」


脳裏をよぎる様々な言い訳は心の隅に押しやった。

愛実の細い腰を抱き寄せ、そのまま唇を重ねる。
制服姿の彼女も愛らしかったが、少し大人びたシックな洋服も愛実の瑞々しさを損ねることはなかった。

男の身体に火を点けるほどに。


藤臣は床と同じくコルク仕様の壁に、彼女の背中を押し付けた。
愛実が逆らわないのをいいことに、熱いキスを繰り返す。手はしだいにスカートの裾に入り込み、彼女の太腿を撫で始めた。

ほんの一瞬、愛実は怯えたように体を強張らせる。


「嫌なら早めに言ってくれ。あと少し進んだら……止まれなくなる」


そう言いながらも、指先が愛実の太腿から離れない。
きつく閉じた脚を割り込み、指の腹で内腿を擦った。その柔らかい感触に藤臣の呼吸は乱れ、意識も飛びそうになる。

ここで『やっぱり怖い』と言われても、本当にやめられるかどうか……微妙だった。


「イ……ヤ、じゃないです」


文字どおり“蚊の鳴くような声”だ。

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