一生の意気地無し。


.。.:*♡


思わず、パピオを落としそうになった。だけど、動揺を隠すように気を付けてコイツを見た。



「そう、か。良かったな。」



なんて、情けない声が出た。コイツは、幸せそうに笑って



「ありがと。」



なんて、言ってる。コイツは、小さい頃欲しかったオモチャを買ってもらった時よりも、一番好きな食べ物を食べた時よりも幸せそうな顔をしていた。



「っ、」



好きだ、なんて言う勇気はない。コイツの幸せを壊せない。俺は、空になったパピオを一気に食べた。歯がキーンっと痛くなった。



「幸せに、なれよ。」



そう、ポツリと呟いた。今、俺はどんな顔をしてるんだろ。ふと、そう考えた。…やっぱり、好きな奴にはかっこいい姿を目に入れてほしい。



俺は、今日のことを一生後悔して一生、意気地無しのまま過ごしていくんだろう。
そう思いながら、コイツの笑顔を眺めていた。



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