双子の御曹司

閉店時間は21時だが、閉店後の作業をして、店舗を出るのは22時近くになる。その為帰宅するのは23時をすぎる。

玄関を入るとお風呂のスイッチを押し、湯がたまる間に洗濯物を取り込み片付ける。そんな時、電話の留守電メッセージを知らせるランプが点滅してる事に気付き、私はため息をつく。

「お母さんだろな?…」

内容は分かっているが、ボタンを押す。

『遥お帰り(ただいま)お母さんよ?(わかってます)今度の休みはいつ?(教えません)一度帰ってこない?(そのうち)お見合いの話いくつも来てるのよ?(……)会うだけでも会ってみない?(嫌です!!)』

母からの留守電に思わず相槌を入れている自分に苦笑いするも、分かっていた毎度の内容に、大きな溜息が出てしまう。

「また、婦人会のおば様達に頼んだんでしょう?
世話好きなおば様達、たくさん居るからね?」

メイクを落として浴槽にバラの入浴剤を入れ1時間かけてゆっくりお風呂に入る。

お風呂から出ると、全身、保湿のローションを塗る。 誰に見せるでもない肌のお手入れは、忘れた事はない。

そろそろローション無くなるなぁ…
注文しなきゃ!

駅前のコンビニで買ったお弁当をレンジで温めて、冷蔵庫を開ける。

うちの冷蔵庫の中には缶ビールとミネラルウォーターしか入ってない。

料理が苦手ってわけじゃないけど、1時間半かけて帰って来て、夜中に近い時間から作る気力が無いのだ。

その為、最近はもっぱらコンビニ弁当にお世話になっている。
最近のコンビニ弁当は、彩りも良く、栄養バランスは勿論、遅い時間に食べても罪悪感の無い様に低カロリーの物も多い。と、言っても、ビールと一緒に食べていては、意味の無いことだが…

「しかし、この冷蔵庫、女子力ゼロだわ…。」

あまりの酷さに、呆れ溜息をつくも、冷蔵庫から缶ビールを1本出しプルトップを開けると腰に手を当て喉に流し込む。

「クー旨い!… 私はおやじか!?」

自分で自分にツッコミを入れて苦笑する。

「さて、見ますか?」

温めたお弁当を食べながら録画を再生する。

「へぇー今度は忍者がテーマか? 今回もヒーローはイケメンじゃん! あっこの子タイプ!!」

何故か戦隊物はイケメンが多い。子供だけで無く、一緒に見るであろうお母さん達からの支持も狙っての事だろうか?
独り言を言いながら、冷蔵庫から本日2本目のビールを出す。

しっかり見て新しいキャラ名や、武器の名前を覚えなくては…




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