計画的俺様上司の機密事項
ごはんを食べ終え、シンちゃんはお茶を淹れてくれた。

ハーブティーの香りをかぎながら、のんびりとしているシンちゃんに話した。


「シンちゃん、真鍋先輩と出かけなかったんだね」


「ん?」


シンちゃんがとぼけながらカップに口をつけていた。


「真鍋先輩本人から直接聞いた」


ぷはあ、とわざとらしい声を立ててお茶を飲んでいた。


「そっか」


「そっか、じゃないよ。どうして嘘ついたの」


「さあね」


シンちゃんは口を尖らせている。まるで少年みたいだ。


「野上くんとごはんにいったのがそんなに気に入らなかったのね」


「ああ、気に入らないね。本当なら一緒に行きたいくらいだ。お前の立場を考えてやめてるってのに」


「……シンちゃん」


「これ以上いうと暴走しそうになるからやめておく。それぐらい我慢してるってこと、わかれよ」


「……うん」


「それとも美織ちゃんとでかけてほしかったのか?」


「そ、そんなことは……。でもシンちゃんがいいっていうなら反対しないし、むしろ好都合かなーなんて」


「なんだよ、その好都合ってのは」


「美談美女でお似合いそうだし。だって、給湯室でニコニコしてたじゃない」


シンちゃんは目を丸くし、すぐに目を細めた。


「ああ、それか。それがどうした」


「それが、って」


シンちゃんは口元を緩めさせてだらしなく笑った。


「ははん。妬いてるんだなあ。オレ、モテモテで困ったなあ〜」


「な、何いってんのよ。こんなエロいおじさんのどこがモテモテっていうのよっ!」


「はいはい、エロエロで悪うございました。夏穂にはわからない大人の男の魅力ってのがあるってことかな〜」


と、シンちゃんは鼻歌を歌いながら、飲み終えたカップを持ってシンクへ行き、お皿を洗い始めた。
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