計画的俺様上司の機密事項
出勤する服に着替え、部屋から出てきたら、見計らうようにシンちゃんも自分の部屋から出てきた。


「夏穂、その服」


グレーのジャケットに白の無地Tシャツ、黒のタイトスカートを履いている。


「これ、シンちゃんが買ってくれた服だよ」


「やっぱり似合うな」


それはシンちゃんが選んでくれたからなのに、と言いたかったけれど、もう出勤時間が近づいてきたので、


「ありがとう」


といったら、シンちゃんも頷いてにっこりと微笑んでくれた。

きれいにスーツが決まっていて、手にはビジネスバッグを携えている。

どこかの紳士服のCMでみるようなビジュアル的に素敵な男性がこの家にいるなんて、何か変な気分だ。

あまりじろじろ見過ぎても怪しまれそうだったので、


「じゃあ、シンちゃん、いってきます」


というと、


「さて、いくか」


と、わたしに続いて一緒にシンちゃんも出ようとした。


「って、シンちゃんも一緒にいったら……」


「玄関までいいだろ」


シンちゃんが頬をふくらませてふてくされている。


はいはい、と軽くあしらいつつ、玄関で靴を履いていると、


「ほら、行ってきますのチューは?」
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