彼が嘘をついた
Prologue
「なぁ遥。
俺、真由子と付き合うことになったから」

場所はファミレス。
私の前に座る従兄弟の二宮大樹(ニノミヤ ヒロキ)は、私の隣に座る高野真由子(タカノ マユコ)をチラッと見ながらそう告げた。
その真由子は、頬を紅く染めながら、嬉しそうに微笑む。

私は軽いショックを受けながらも、2人にそれを悟られないように、頑張って笑顔を作る。
そして、「良かったね」と言おうとしたが、それより先に、

「おめでとう」
と言ったのは、ヒロくんの隣に座っている五十嵐隼人(イガラシ ハヤト)。

五十嵐くんの言葉にヒロくんも真由子も笑顔になる。

そんな2人に、彼は続けて言う。
「大樹、心配するな。
佐久間は俺が守るから」
と…。

その言葉に、ヒロくんは安心したように、
「あぁ、頼むよ隼人。
お前ならば、俺も安心して遥を任せられるよ」
と言った。

いや…
あのぉヒロくん。
勝手に私のことを任せないで欲しいのだけど。

そう思っても、口に出すことは出来ない。

私はカフェオレを口に運ぶと、気持ちを落ち着かせた。




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