彼が嘘をついた
ファースト·キスと引っ越しと
それから時間まで、飲んだり食べたりしてお開きになった。
今日は、2次会に誘われることもない。
誰も2次会の話をしないから、2次会自体がないのかも知れない。
お店を出ると、いくつかのグループごとに帰って行く。

「じゃあね、バイバイ」
「また会社でね」
「気をつけて帰ってね」
「おやすみ」

みんなが、そんな挨拶を交わすのを聞いていた。

そして気付けば、私の隣には五十嵐くんがいて、残っているのはヒロくん·土屋くん·真由子·楓恋の6人だけ。

「えっと…。
西崎は、俺がちゃんと送りますから。
お疲れ様でした」

土屋くんが私たちに言うと、続けて楓恋も、
「遥、真由子ちゃん、おやすみ」
そう言って、土屋くんに着いて歩いて行く。

「楓恋ちゃん、またね」

「うん。
真由子ちゃんたちも、気をつけて帰ってね」

そう言って楓恋は帰って行った。

ヒロくんが、五十嵐くんと私の前に立って、
「俺が真由子を送るから、隼人は遥を頼む」
五十嵐くんに向かって言った。

「あぁ、分かってる。
気をつけて帰れよ」
五十嵐くんがそう答え、

「遥、おやすみ。
またね」
私は真由子に声をかけられ、
「うん。
おやすみ真由子、ヒロくん」
私はそう返して、手をつないで歩いて行く2人を見送った。


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