オトナチック
プロローグ
「――何しているんだろ、私…」

自嘲気味に呟いて、空を見あげた。

見あげた空は真っ黒に染まっていて、星が見えない。

「まるで私の心みたい…」

詩のように呟いた後、自嘲気味に笑った。

後ろを振り返った。

「追いかけてくる訳、ないか…」

呟いたとたん、チクリと胸が痛くなった。

仕方ないよね…。

あんなことを言っちゃったんだもん…。

勢いに任せてしまったとは言え、彼にあんなことを言ってしまった。

「契約のうえでの、関係だったじゃない…」

いつの間にか芽生えてしまったこの気持ちの消し方を、私は知らない。
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