オトナチック
2・隣の男はよく見える
スマートフォンから聞こえてくるアラーム音に、閉じていた目を開けた。

視界に入ってきた見知らぬ天井に戸惑ったのは一瞬のことで、すぐに自分は同期の家でお世話になっていることを思い出した。

枕元のスマートフォンに手を伸ばすと、アラーム音を止めた。

時間は朝の7時30分を差していた。

冬の真っただ中と言うこともあり、温かいふとんから出たくないくらいに寒くて仕方がない。

だけど、仕事があるから遅刻する訳にはいかない。

「――ふわ~あ…」

ふとんから起きあがるように出ると、枕元に置いていたカーディガンと毛糸の靴下を身につけた。

顔を洗うために使うタオルとメイク道具が入ったポーチを手に持つと、部屋を後にした。
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