オトナチック
「好きだよ」

そう言った杉下くんに、
「私も好き」

私は言った。

「これからも、俺のそばにいてください。

俺のために毎日炒飯を作ってください」

「さすがに毎日は作らないよ。

だけど、これからも私のそばにいてください」

「俺が逃げ出しそうになった時も引き止めて、俺を支えてください」

「私が困った時、あの時みたいに手を差し伸べて助けてくださいね」

「約束する」

「私も約束するわ」

お互いの小指を絡ませると、指切りげんまんをした。

「芽衣子」

名前を呼んだのと同時に、杉下くんの顔が近づいてきた。

それにあわせるように、私は目を閉じた。

唇に温かいぬくもりを感じた瞬間、私は幸せな気持ちに包まれた。
< 319 / 326 >

この作品をシェア

pagetop