君が罪なら俺は罰を受け入れる






『突然声なんかかけてすいません。

 それと……俺のダチが煮え切らない態度ばかりで……』




元彼の友達はそう言って、俺から一つ分あけた隣のシートに腰かけてきた。







『…………あ、………いや俺は別に……』




俺はどんな風に答えていいか迷う、それが態度にもよく表れているのが自分でも分かった。










『もしかして………あなたが小原君?』




元彼の友達は一つため息を吐いて、そして俺に問いかけてくる。



突然の問いかけに俺の目は点になる。









『………あ、そうですけど。えっと……なんで俺の名前……』





『よーく、百合がアイツにあなたの名前を話していたみたいだから』





『…………え、アイツが彼氏さんに?』







(………おいおい、彼氏との会話になんで俺の名前なんか出したんだよ!?)






『百合って、好きな男とか彼氏とか、とりあえず今一緒にいる人に一直線になる奴なんだよね』





(………確かに。元彼と付き合ってる時は元彼だけだったし……)





元彼の友達の言葉に、俺は静かに頷く。



だって、今まで俺が見てきて、俺もアイツに対してそう思ってたし。








『確かに百合は英人に夢中だった。英人も百合に夢中で俺なんかが見てても相思相愛の二人だったよ。

 俺らの中じゃ、この二人が一番最初に結婚するとか思ってたし。

 けど……小原君の存在に英人はいつも怯えてたんですよ?』






嘘、だと思った。



元彼の友達が話した、最後の言葉。




嘘、じゃなければ冗談だと思った。








『自分を好きだという百合、でも百合の口から語られる小原君の名前、小原君の存在。

 普通、いくら仲がいいっていっても毎度毎度、男友達の名前を出します?』





元彼の友達に問いかけられ、俺は思考回路が完全に停止した。





(てか、俺、初めて聞きましたけど?)



(アイツが元彼さんに俺のことを話してた、とかー………)






< 34 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop